すとーむのフリーライフブログ

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ZOIDSWILD Another world adventure #1(後編)

ストームは昼に見たファングタイガーだと思われた何かのことを考え続けていた。
できることなら、もう一度会って。自分だけのゾイド、つまり相棒にして。そして…
一緒に旅をしたい。
4年前に姉が旅に出たことから、彼は旅に憧れていた。
広い世界を見て、人やゾイドとの絆を深めて。
旅に出れば、きっと楽しいだろう、と。
自分に足りないものは、ゾイドが補って。ゾイドに足りないものは、自分が補って。
(ゾイドにまかせっきりにならないといいんだけど…)
そんなことを考えつつ、眠りに落ちていく。


いつもより早く、目が覚めた。
4時頃。空はまだ暗い。
直後、羽音が鳴り響く。
虫か?いや違う。ゾイドだ。
ストームはそう確信し窓を覗く。
見つけた。クワガタムシゾイド、クワーガだ。
野良ゾイドだと思っていたが、どうやら人が乗っている。
(こんな時間に…?どうして…?)
彼の知る限り、今までこの時間に人が来たことはなかった。
(何しに来たんだろう?)
玄関まで走って鍵を開け、外に出る。
すると家からは離れていたはずのクワーガが近くに移動してきており、こちらを威嚇している。
怯えつつもストームは目的を聞くことにした。
「何しに…っ、ここへ、来たんです…?」
返答が来た。
「そのゾイドを頂く。そいつは高く売れる代物だ。」
確かにストームのラプトールはZ-Oバイザー搭載型であり、貴重なゾイドだろう。
「ラートは…っ、渡さない…!」
ストームはラプトールへ跨がる。
「ごめんね、こんな時間に…。また、戦ってくれる…?」
彼の意思を汲み取ったラプトールは戦闘体制に入る。
「ならば力ずくで奪い取るまでだ。」
クワーガは突進し、巨大な顎をラプトールへ叩きつける。
「わあああああっ!」
(速い…!)
スピードと、それによる一撃の重さ。
縦横無尽に飛び回るクワーガに有効打どころかかすらせることもできず、ダメージが蓄積していく。
(ダメだ…このままじゃ…!)
飛びかかってもかわされ、隙だらけになったところに突進され撥ね飛ばされる。
有効な案を思いつけないまま、一方的に攻撃を受け続ける。
ついにラプトールが限界を迎え、各部をスパークさせながら倒れる。
「ラートっ!!」
負けた。完全に。
もうこれ以上、対抗できない。
「嫌…!」
全身が震える。この後どうなるかは、容易に想像できた。
「お願い…助けて…!」
その瞬間、彼の想いに応えるように咆哮が響き、青い影がクワーガへと飛びかかる。
「ああっ…!」
間違いない。昨日見た、あのゾイド
ファングタイガーだ。
「戦って…くれるの…?」
ファングタイガーはラプトールに歩み寄り、首を下げる。
(乗ってってこと…?)
一縷の望みに賭けてラプトールからファングタイガーへ渡り、首に跨がる。
直後、キャノピーが形成される。
「わっ…!」
初めての状況に驚くストーム。
だが、覚悟は決まった。
(待ってて、ラート…!)
「今だけでいいから…一緒に…!」
想いは伝わったようだ。
ファングタイガーが飛び上がる。
「わああ…あああっ!」
体にかかる衝撃。その直後の浮くような感覚。
恐怖と驚嘆の声を上げるストーム。
空中でフリーになったファングタイガーを隙ができたと見たのか、突進するクワーガ。
その顎に、ファングタイガーは真上から一撃を加えた。
落下していくクワーガ。
「すごい…。すごいよ!」
これが大型ゾイドのパワー。ラプトールでは体験できない状況に胸を踊らせていた。
高さがあったゆえか地面に叩きつけられたクワーガは再び飛ぶ様子を見せず、ぐったりとしながら地面に止まっていた。
そこへ、隣村の方向からカブターが飛んできた。
騒ぎを聞きつけたのだろうか。
「ロットさ~ん!」
キャノピーを解除し手を振るストーム。
「ストーム君か!よく頑張ってくれたね、後は任せて。この人はこっちで預かっておくから。で、そのファングタイガーは…?」
「ふふっ…話はあとで。まずは…」
「ラート!お待たせ!まだ大丈夫!?」

3時間後、隣村の協力もあってラプトールは回復した。
「よかった…。」
胸を撫で下ろすストーム。
「さて、と。」
「まだ、いてくれるの…?」
あの後去っていくと思われたファングタイガーだが、ずっとストームに付き添っていた。
(今言ったら、受け入れてくれるかな…)
夢を叶えるため、勇気を振り絞る。
「そのっ…僕の!相棒に!なってほしい!お願い!」
一瞬、静寂が訪れる。
ファングタイガーはストームの服を咥え、空中に放り投げ首へと乗せる。
「いいって…こと…?やったー!!」
彼の喜びに応えるようにファングタイガーも咆哮する。
「あっ…」
「朝ごはん…作ってくれてるかな…」
いつの間にか時計は9時を指していた。
「よし、それじゃあ、家に帰ろ!ラートも!」


「ただいま~」
「スーちゃん!大丈夫だった!?ケガしてない!?」
「大丈夫!」
「朝ごはん、冷めちゃったけど、食べる?」
「うん!」


「それで、お母さん!」
「どうしたの?」
「言いたいこと、あって…。」
「あっ、旅に出たいの?」
「…なんでわかったの!?」
「なんでって…ご飯食べてるときずっとそわそわしてたじゃない。」
「うっ…。それで…。」
「いいわよ、応援するから。」
「いいの…?」
「もちろん。可愛い息子がやりたいことだもの。」
「やったぁ!ありがとう、お母さん!」
「よしよし、そうと決まれば、支度しなきゃね。」


「それじゃあ、行ってくるね。僕がいない間もラートとたくさん遊んであげてね。」
「はーい!」
「スーちゃん。」
「何?」
「たまには、帰ってくるのよ?スーちゃんまでいなくなると、寂しいんだから…。」
「うん、わかったよ!」
「それじゃあ…いってきまーす!!」






3月中になんとか書けました。
放棄するところだった…
続きは…モチベがあるときに()